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非常時のことば―震災の後で [著]高橋源一郎

[評者]

[掲載]2012年09月09日

[ジャンル]人文

表紙画像

 「非常時」には言葉を失う。混乱する。うまくしゃべれないし、うまく書けない。当然だと、高橋さんは言う。2011年3月、大地震と原発事故があった。人びとの気持ちや考えが変化し、言葉や文章も変わった。日常と同じ常識や知識で考えて書かれた「いい文章」は「なんかおかしい」。
 前例がないことについて考える、借り物ではない自分の言葉を探したい。
 パレスチナ人虐殺現場を訪れたジャン・ジュネの「不謹慎」な表現の「圧倒的な美しさ」、石牟礼道子が記した水俣の地獄に広がる清らかな「浄土」。一方、演説や官報は……。世の中は我々の言葉が作る。言葉や文章について誠実に考えた軌跡がここにある。
    ◇
朝日新聞出版・1680円

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