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そこに僕らは居合わせた―語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶 [著]グードルン・パウゼヴァング

[評者]

[掲載]2012年09月30日

[ジャンル]国際

表紙画像

 ナチス体制下のドイツで起きたさまざまなことを見た子どもたちが後に語る20編。ユダヤ人一家が連行されたあとの家に、この間まで仲良く付き合っていた近所の人たちが入り込み、めぼしい品を持ち出す。母は台所で食糧を買い物袋に詰め、昼食に用意されていたスープを食べて「まだ温かいわ」。4人以上の子を産んだ母親に「賢母十字勲章」を与えて回る「少女団」のメンバーたち……。著者は終戦時に17歳。「あの時代の記憶は、私たちの後の人生に暗い影を落として」おり、同時に「あの時代の恥ずべき行為が忘れ去られることがないよう」書いたという。普通の人々がどう振る舞ったか。ドイツだけの問題ではない。
    ◇
高田ゆみ子訳、みすず書房・2625円

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