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ゼラニウムの庭 [著]大島真寿美

[評者]

[掲載]2012年10月28日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 前作『ピエタ』が本屋大賞3位となって注目された著者の新作は「時の流れ」を考える長編小説。「わたし」の家には、時折現れるが、家族写真には一枚も写っていない「親戚のおばさん」がいた。祖母がわたしに明かしたおばさんの人生は謎めいている。おばさんと祖母は、実は双子の姉妹で(だから本当の続き柄は大叔母なのだ)、しかしおばさんは生まれたときからゆっくりとしか成長せず、ずっと若くて美しい。後に小説家になった「わたし」が、祖母、母、自分と3代にわたるおばさんとの関係を記録した文という形で物語は進むが、最後に視点が大きく変わる。140年生きることができたら。それはあまりに孤独で不条理な人生なのだ。
    ◇
 ポプラ社・1575円

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