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琉球検事‐封印された証言 [著]七尾和晃

[評者]上丸洋一(本社編集委員)

[掲載]2012年11月04日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■コザ事件と占領下の司法

 1970年12月20日未明、米軍統治が続く沖縄のコザ市(現沖縄市)で、米陸軍病院に勤務する米国人運転の車が日本人男性をはね、全治10日のけがを負わせた。この事故をきっかけに住民数千人が騒ぎ、車両82台が炎上、21人の逮捕者が出た。
 本書は、このコザ事件を軸に、占領下沖縄の刑事司法の実態に光を当てるノンフィクションだ。
 証言するのは、72年の本土復帰までの18年間、米国の指名を受けて琉球検察庁の検事長を務めた比嘉良仁と、比嘉のもとで公安部長検事を務めた高江洲歳満。コザ事件は「事前に綿密に計画されたものではないか」と高江洲らは考え、首謀者として、地元の有力政治家と新聞人に目をつける……。
 事件について、高江洲は、単に反米、反基地感情が表出されただけでなく、深い根のところに「大和に対する違和感と怒り」があったとみる。今日の沖縄を考えるうえでも一読をすすめたい一冊。
    ◇
 東洋経済新報社・1575円

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