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ピストルと荊冠 〈被差別〉と〈暴力〉で大阪を背負った男・小西邦彦 [著]角岡伸彦

[評者]

[掲載]2012年11月11日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 むちゃくちゃや。山口組系暴力団の組員にして部落解放同盟の支部長、小西邦彦(2007年没)の一代記である本書を読んで、何度も口をついて出そうになった。カッとなって横綱千代の富士を蹴り上げたという逸話に始まり、コワモテと押し引きの強さで大阪市や銀行をほんろうし、「弱いもんから搾るな」から出発しているとはいえ、税務署相手に「お目こぼしをしたってくれ」とねじ込むことまでしている。けれど、なにごとにも極端なこの男の強烈な存在感が、1970年代大阪の同和政策を突っ走らせたのもまた事実だ。巨大で黒い我欲の裏面に小さきものへの白い愛を宿した小西。まるで陰画の太陽の塔や。美しくはないが、忘れがたい。
    ◇
 講談社・1575円

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