佐々木敦「批評時空間」書評 感覚が思考に移ろう過程をすくう
評者： 朝日新聞読書面
／ 朝⽇新聞掲載：2012年11月18日
批評時空間
著者：佐々木 敦
出版社：新潮社
ジャンル：芸術・アート
ISBN: 9784103328919
発売⽇：
サイズ: ２０ｃｍ／３３３ｐ
批評時空間 [著]佐々木敦
目の前で起きている芸術表現を糸口に、一見無関係な複数の経験が召喚され、未知の星座が心に現れる。感覚が思考に移ろうそんな過程をすくうかのような評論集である。「おのれの端緒がたえず更新されていく」体験を、筆者と読者が共有していくといってもいい。ページの上段と下段に同じ切り口で別の作品を同時進行で評していくような、形式上の挑戦もあいまって、過去と未来、うそとまこと、現実と非現実といった、さまざまな境界が揺らいでいく。時間と空間という切り口＝軸は筆者が用意してくれた。そこにどんな視点を加えて向き合うかによって、読み手は自らの空間座標、すなわち立ち位置を問い直すことになる。
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新潮社・２１００円
