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新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす [著]水野玲子

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)

[掲載]2012年11月25日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■「もうひとつの安全神話」指摘

 ミツバチの大量失踪。謎の異常現象が2000年代後半から世界的に顕在化してきた。ウイルス、ダニ、環境変動など様々な要因が取り沙汰された。
 そんな中、いまひとつの物質名が浮上しつつある。ネオニコチノイド。害虫には卓効、人間には無害。少量で効き目が持続するから減農薬になる。画期的な新農薬として日本では水田に大量散布されるようになった。著者はこれを、企業、政府、農協、あるいは食の問題に敏感なはずの生協でさえもが参加して作り上げた「もうひとつの安全神話」だと指摘する。
 効果が持続するがゆえに中長期的な影響こそが問題なのだ。実験データはこう告げる。致死量以下でも、ネオニコチノイドを浴びたハチは神経を侵され巣に帰らなくなると。
 自然は動的平衡の網目からなりたつ。ひずみは全体に伝播(でんぱ)する。ゆっくり時間をかけて。これは想定外の事象でない。私たちは意識の警戒レベルを上げなければならない。
    ◇
 七つ森書館・1890円

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