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ものみな過去にありて [著]いがらしみきお

[評者]

[掲載]2013年01月06日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 『かむろば村へ』『I(アイ)』『羊の木』と、このところ話題作を連発している仙台市在住のマンガ家の、日記形式による自伝的エッセー集。過ぎ去った時への甘やかで切ない「あの感じ」がつづられる。
 意外に東京が好きなこと。パソコン熱はもう冷めたこと。「馬の骨」というパンクバンドをやっていたこと。映画「かいじゅうたちのいるところ」を見て泣いたこと。それらが3・11で「現在」へと暗転する。妻の実家からの帰路、車窓の風景を眺めては「こんな幸せいつまでつづくかなぁ」と、いつも思ったという述懐が心に残る。2010年3月11日の題が「大地震」で「ある日突然来る」と1年前に断言していることにもギョッとした。
    ◇
 仙台文庫・987円

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