荻上チキ「彼女たちの売春」書評 n個の排除の数だけn個の包摂を
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年01月27日
彼女たちの売春 社会からの斥力、出会い系の引力
著者:荻上 チキ
出版社:扶桑社
ジャンル:社会・時事
ISBN: 9784594067342
発売⽇:
サイズ: 19cm/333p
彼女たちの売春 社会からの斥力、出会い系の引力 [著]荻上チキ
「出会い喫茶」などを手がかりに、「ワリキリ(お金で割り切った体の関係)」と呼ばれるフリーの売春に携わる女性100人以上にインタビューした。2011年調査ではワリキリを始めた平均年齢は20.7歳、DV経験ありは33%。売春をめぐっては、世の中が豊かになるにつれ「貧困型」よりも「享楽型」が増えている、といわれがちだが、後者の当事者も問題を抱えていないわけではないという。
著者は短期的に売春を取り締まるような方法には批判的だ。社会からの「斥力」があるからこそ、彼女たちは売春に引き寄せられるからだ。社会保障、雇用、医療への接続……。「n個の排除の数だけn個の包摂を」と訴える。
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扶桑社・1365円