『良いおっぱい 悪いおっぱい』の詩人は57歳になっても、相変わらずエネルギッシュだ。カリフォルニアと熊本を行き来しながら元気に生きる。「経血やしょぼしょぼしょぼと寂しそう」「婆(ばば)の乳垂れて萎(しな)びて夏の果て」。こんな俳句をタイトルにした48編のエッセーで、その日々がつづられている。何を書いても、根本には閉経前後の女の体があるという。
雑誌「婦人公論」に載ったときの連載名は「漢である」だった。「漢」と書いて、「おんな」と読ませる。同世代のおばさんと呼ばれる女性たちの、正義心や行動力、人生に対する覚悟と矜持(きょうじ)を表す言葉として。その漢の生がまばゆい。
◇
中央公論新社・1470円