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Because I am a Girl―わたしは女の子だから [著]アーヴィン・ウェルシュほか

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)

[掲載]2013年02月10日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■開発途上国の厳しい現実

 青空をバックにいろんな肌の色の女の子たちが佇(たたず)んでいる表紙カバーを見て、可愛らしい声が詰まった短編集なのかな、と手に取った。でもここには、女の子というだけで差別を受けてしまう開発途上国のハードな現実が描かれている。「プラン」というNGOのキャンペーンに協力した世界各国の作家たちが現地を見たうえで書いた作品のアンソロジー。翻訳した角田光代さんも「プラン」の招きでマリやインドに行っている。
 女の子たちの現実は想像以上に厳しい。男性社会、宗教の壁、貧困の連鎖。十代前半で妊娠し、教育の機会を奪われてしまう子も多い。どうやって人権を教え、自尊感情を持たせてあげたらいいのだろう。彼らが援助に依存するだけではなく自立するには、どうすればいいのだろう。援助の方法に疑問を持つ作家に対する現地スタッフの回答にハッとさせられた。小さいけれど人々の願いが凝縮された本だ。女性はもちろん男性にも読んでほしい。
    ◇
 角田光代訳、英治出版・1680円

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