三種の神器―〈玉・鏡・剣〉が示す天皇の起源 [著]戸矢学

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)  [掲載]2013年03月03日   [ジャンル]歴史 

表紙画像 著者:戸矢 学  出版社:河出書房新社

■「日本文化の根源」独自に分析

 「三種の神器」について詳しく知る人は多くない。本書は、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)、八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)の三種は、「日本文化の根源に存在する」との理解のもとに、記紀以前からの史実や語り継がれている内容、あるいは著者独自の分析などを織りまぜて説いていく。専門用語は多いにせよ、記述が平易なので、玉、鏡、剣の真の意味もわかる。
 この「三種の神器」を制度として制定したのは天武天皇であり、「皇位の象徴」がここにあると知られるようになったのは、「天武朝の広報担当者が優秀」だったからとの指摘もある。記紀により公式に認定されたが、曲玉は宮中に、鏡と剣は宮の外に祀(まつ)られていることの公表など独自の演出もあったという。
 「三種の神器」の思想は御霊信仰であり、この信仰では祟(たた)り神を「祀ることによって守護」となる。それゆえこの信仰とそれぞれの神器との関係、崇神天皇の御代(みよ)に直面した国家存亡の危機についての記述はきわめて興味深い。
    ◇
 河出書房新社・1785円

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