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機械との競争 [著]E・ブリニョルフソン、A・マカフィー

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2013年03月17日

[ジャンル]IT・コンピューター

表紙画像

■「テクノロジー失業」世に問う

 「雇用」こそ、いまの世界経済の最大の課題だろう。本書のテーマもそうだ。ただし扱うのは足元の景気のいかんを問わない、もっと長期的、構造的な問題だ。いずれ人間は機械やロボットに駆逐されてしまわないのか——と。
 デジタル技術はコピーや普及を容易にし、勝者はグローバル市場を総取りできる。必然的に多くの負け組が生まれ、失業者が増えやすい。
 本書が「テクノロジー失業」と名付けるそうした雇用喪失は、いま空前の規模で広がっている。昨今のコンピューターやインターネットの進歩があまりに速すぎて、企業も政府も、そして人々も対応しきれていないからだ。
 それでも著者は未来を楽観する。「コンピューターを使う人間チーム」が世界最強のチェスプレーヤーになったように「機械を味方につけろ、使いこなせ」というのだ。
 それはその通り。だが本書が明快な方法論を準備しているわけでもない。深く、重い課題を世に問うのみである。
    ◇
 村井章子訳、日経BP社・1680円

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