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無地のネクタイ [著]丸谷才一

[評者]

[掲載]2013年03月24日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 昨年10月に亡くなった作家、丸谷才一。知的で機知に富んだエッセーの名手だった。昨年2月号まで岩波書店「図書」につづった文を集めた。パーティーでは自分の病気の話を熱心に語らないこと。新聞には書評だけでなくテレビ評も載せたらいい、とあれこれ語る。生物の繁殖で始まる継承の話は、天皇制から歌舞伎につながり、松竹に企画してほしい俳優の組みあわせ、と言いたい放題。日本人はなぜ死刑制度を肯定するのか、折口信夫や宮田登をひき、御霊信仰から死刑を考えて、問いを投げかける。池澤夏樹が解説で「一夜漬けで勉強するんだよ」という丸谷の言葉を紹介している。知的なエッセーを支えたのは知識を集める力だった。
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 岩波書店・1470円

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