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狭小邸宅 [著]新庄耕

[評者]

[掲載]2013年03月24日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだっ」。そんな罵倒や暴力に耐える不動産会社の若手営業マンを描く小説。読んでいて息苦しくなるほどの臨場感がある。頭に粘着テープで受話器を固定され、勧誘電話を強制される。社長は机を蹴り上げ、言い放つ。「売って数字で自己表現しろっ。……最高に幸せじゃねぇかよ」
 優柔不断だった主人公はあるきっかけで、「今にも人を殺しそうな」目つきのエース営業マンにのし上がっていく。その変わりゆく過程を乾いた筆致が記録する。
 「ブラック企業」の犠牲者を描いた、とは片付けられない。働くことで人は変わる。その紛れもない事実を、ただ突きつけられる。
    ◇
 集英社・1260円

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