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日本における新聞連載子ども漫画の戦前史 [著]徐園

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2013年05月12日

[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

表紙画像

■ヒトコマから読む社会の動態

 著者(中国人研究者)は本書の狙いをこの表題を歴史に「刻む」ことと書く。子ども漫画史から日本社会の動態を問い直すとの姿勢だ。
 タテ軸(歴史)とヨコ軸(時代)を明確にするために、明治からの東京で発行された主要日刊全国紙8紙全てに目を通し、漫画のヒトコマずつを分析して、そこにどのような国家意思、日本人の好みや価値観があらわれていたか、平易に説明している。本文中の各種各様のリスト作成の熱意に圧倒される。
 明治35年に北沢楽天によって誕生した子ども漫画史は、五つの時期に分類される。意外なことに昭和5年から12年までが繁栄期で、漫画本数は131本と史上最高の数に達した。戦争期とも重なり、漫画の主人公は(1)国家の象徴(2)国家のために行動するとの特徴があった。「日の丸ポン吉」のように頬に日の丸がつく少年が主人公だったりする。
 大衆のエネルギーに支持された子ども漫画との結論が新鮮である。
    ◇
 日本僑報社・7350円


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