保坂和志「考える練習」書評 「わかる」から遠ざかってみる
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年05月19日
考える練習
著者:保坂 和志
出版社:大和書房
ジャンル:経営・ビジネス
ISBN: 9784479392392
発売⽇:
サイズ: 19cm/302p
考える練習 [著]保坂和志
消費税増税、TPP、原発ほか現代は賛否に迷う問題に満ちていて、「どうすれば自分の頭で考えることができるのか」と思った若い編集者が、作家に「考える方法」を教えてもらいたいと、12回にわたって講義を受けた。作家のスタンスは、そもそも「わかる」のは目的ではない、公式をいくら覚えてもだめ、公式を自分で立てられなくては、と、「わかろうとする」営為からどんどん遠ざかる。その遠ざかること自体が「考える」そのものでもあるのだが。
政治、経済、文学、スポーツ……話題は人生観のひだにも及ぶ。タイトルは「ハウツー」的だが、親切な保坂さんの講義はその土台から掘り起こす。編集者の狙いもそこにあるのだ。
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大和書房・1680円