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怪獣文藝 [編]東雅夫

[評者]川端裕人(作家)

[掲載]2013年05月19日

[ジャンル]文芸

表紙画像

■不穏で不安、ぞわっとした感覚

 我々の社会にとって「怪獣」は特別であるようだ。テレビでウルトラ怪獣が活躍(?)し、ゴジラが映画の定番だった頃に育った世代でなくとも思い入れを持つ人は多い。日常を逸脱した破壊のカタルシスと、秩序の外側と直結しているが故のぞわっとした感覚。人外の尋常ならざるものとして、怪獣は時に我々が抱える根源的な不安をも暴いてしまう。
 本書は、怪獣小説というべき短編を中心に編まれている。帯には「17大怪獣作家総進撃!」。レトロでウルトラ的(?)な装丁もあって、派手に街を壊しまくる話かと思うとやや違う。怪獣と「文芸」が切り結ぶ場では、むしろ不穏で不安でぞわっとした肌触りの方が際立つようだ。
 民俗学者と俳優の対談で、「神話的想像力」「日本的物語の定型」とのつながりが指摘される。「怪獣」を通じて、今、世に問われるべきものは何か。語り直されるべきものは何か。不安な作品群から、感じ取ることができる。
    ◇ 
 メディアファクトリー・1995円

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