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工場 [著]小山田浩子

[評者]

[掲載]2013年05月26日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 表題作で2010年に新潮新人賞を受けた。初めての著書。「工場」は、敷地の巨大な、街のような工場で働く3人の視点を切り替えて物語が進んでゆく。契約社員の佳子は一日中、シュレッダーで紙を裁断している。正社員の古笛の仕事はコケの観察会。派遣社員の牛山は利用先がわからない謎の文書の校閲を続ける。工場にはレストラン、バス停、クリーニング工場など何でもあり、不思議な動物が排水溝や洗濯機の下にいる。誰もがあこがれる工場で働く3人だが、何かの役に立っているようには見えない。彼らは、私たちは社会とつながっているのか。働くってどういうことなんだろう。大胆な奇想で淡々と不条理を描く。ほか2編。
    ◇
 新潮社・1890円

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