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ビッグデータの覇者たち [著]海部美知

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2013年06月16日

[ジャンル]社会

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■人類の英知か、巨大なリスクか

 この10年ほどで激増したデジタルデータ量は、人類数千年の歴史で蓄積した書物や絵図の情報量をはるかに上回る規模になった。そこから、とらえどころのない消費者需要を読み取ったり、病気の流行を早期予測したりする。それが「ビッグデータ」だ。
 廃棄メールやツイッターのたわいのないつぶやきなど、従来「ゴミ」とみなされていたものも蓄積することで「宝の山」になる。この競争で先行するグーグルとアマゾンは、無料メールサービスを充実させ、空振り承知で「あなたのための商品」をお薦めしまくる。すべてが彼らの血となり、肉となるからだ。
 消費者には便利で手放せない。だが誤った使われ方をすれば深刻な事態を招く恐ろしさもある。個人が丸裸にされ監視を受けるプライバシー問題、情報が一極集中して、そこから得られる知的所有権が独占されてしまう問題だ。
 「人類の英知」か「巨大なリスク」か。両面を理解し、考えるのに格好の入門書だ。
    ◇
 講談社現代新書・798円


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