「維新漂流」書評 とらえどころのない新奇さ
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年07月07日
維新漂流 中田宏は何を見たのか
著者:田崎 健太
出版社:集英社インターナショナル
ジャンル:社会・時事・政治・行政
ISBN: 9784797672473
発売⽇:
サイズ: 19cm/243p
維新漂流―中田宏は何を見たのか [著]田崎健太
勝新太郎の評伝『偶然完全』や、三浦知良の父納谷宣雄氏の半生を追った『ザ・キングファーザー』など意欲的な人物ルポを連発中の著者。勝新に当たる“主役”が本書では元横浜市長、今は日本維新の会の政調会長代理を務める中田宏なのかと思ったら、違っていた。真の演者は、同会の橋下徹共同代表と周辺の人々、そして維新の会という不思議な党だ。中田という人物の眼、政治理念や問題意識としては橋下と近い、しかしほんの少し古風で政治キャリアに磨かれたレンズを通すとき、橋下代表の水際だったキャラクターと、彼を中心に巻き起こってくる事態の、とらえどころのない新奇さが浮き上がって見えてくる。
◇
集英社インターナショナル・1575円