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第一回普選と選挙ポスター―昭和初頭の選挙運動に関する研究 [著]玉井清

[評者]出久根達郎(作家)

[掲載]2013年07月07日

[ジャンル]政治

表紙画像

■好んで使われた「昭和維新」

 参議院議員選挙が始まった。今回から候補者はインターネットを使って運動することが認められた。
 選挙運動の研究書は意外に少ない。ビラや挨拶(あいさつ)状などを収集する者がいないため、実態が解明できないのである。
 このたび慶応義塾図書館から、第一回普通選挙で用いられたポスターやビラなどの資料が発見された。本書はそれらの紹介と共に、選挙戦の様相と有権者の投票意識を分析した。時宜に適(かな)った出版といえる。カラーのポスター図案が楽しい。「投票スレバ明(あかる)クナリ 棄権スレバ暗クナル」。これは内務省の棄権防止ポスター。「選ぶ人正しければ選ばれる人正し」。朝日新聞社が募集した標語の入選作。図案と標語は候補者が無断で複製使用できた。選挙運動ではポスターに限らず、レコード、芝居、映画など種々のものが活用された。ネット選挙もこの流れにある。驚くのは、「昭和維新」という語が好んで使われたこと。昭和新政の意で普選の成功を謳(うた)ったもの。
    ◇
 慶応義塾大学法学研究会・6930円



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