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東大理系教授が考える道徳のメカニズム [著]鄭(てい)雄一

[評者]川端裕人(作家)

[掲載]2013年07月14日

[ジャンル]教育 新書

表紙画像

■親から子へ、ごまかさず伝える

 子育てでは必然的に善悪の区別を教える羽目になる。例えば、喧嘩(けんか)や他人を傷つける行為はダメ!など。ところが実際の世界は「ダメ」なことばかりである。国際紛争は大きな喧嘩で、しばしば人が死ぬ。学校ではいじめも起きる。それでも我々の心の中には守るべき善悪のルール「道徳」が存在しているようで、親としてよく考え、ごまかさず伝えたい。
 著者は双子の父親で医学と工学の融合分野の研究者。古今東西の思想家の考えをかみ砕き(先行研究の解析)、道徳の原理をモデル化する。モデル化というのは、複雑な現実から本質的に効いてくるメカニズムを抽出し、よりよく機能する考え方を組み立てること。道徳の専門家からすると暴挙かもしれないが、親が子に何をどう伝えるかという切実な問題を、手持ちの道具で解決しようとする姿勢に共感。子どもに「これはダメ!」と言う自分自身にイラッとしたりモヤモヤしたりしたことがある多くの大人に勧めたい。
    ◇
 ベスト新書・840円

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