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ヨハネスブルグの天使たち [著]宮内悠介

[評者]

[掲載]2013年07月21日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 直木賞候補作。受賞は逃したが、次点という高評価だった。近未来の世界5都市を舞台にした連作短編集。作品をつなぐのは、夕立のように高層ビルから降り落ちる美少女ロボットだ。紛争で荒廃した街から企業が撤退した後も、通称「歌姫」と呼ばれる日本製ロボットの耐久試験、つまり落下だけが続いている。ヨハネスブルグでは戦場で盗みを働く少年が、一体の歌姫から「助けて」というメッセージを受け取り、東京では、歌姫たちの永遠の落下をとめようと少年と少女が動き出す。美少女が意味のない落下を続ける描写は恐ろしく美しい。すらすらとは読めない小説だが、暴力的な不条理さを突きつけ、読む者の心をざらりとさせる。
    ◇
 早川書房・1575円

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