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もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙 [著]渡辺京二

[評者]

[掲載]2013年07月21日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 『苦海浄土』が作品としてまとまる過程に編集者として立ち合った著者は、当初から「傑作」であることを確信し、1969年からは石牟礼が書く原稿の大半を清書した。最も深い理解者の一人として、石牟礼作品は日本近代文学に出現したことがない「世界文学」であるという。書き下ろし「『天湖』の構造」を巻末に、石牟礼論を集成した。「もうひとつのこの世」を感受し、その様相を日本の農漁村、周縁、遊行の伝統を踏まえ幻想的世界として描き出してきた作家。作品によっては「必ずしも成功し」ていないとも率直に評しながら、「石牟礼さんとの出会いは、私の自己の再発見であった」と書く著者の、尊敬と友愛の念が深く伝わる。
    ◇
 弦書房・2310円

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