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新大陸主義―21世紀のエネルギーパワーゲーム [著]ケント・E・カルダー

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)

[掲載]2013年07月21日

[ジャンル]政治 社会

表紙画像

■資源で結びつくユーラシア

 最近、主要国首脳の外遊先を見るにつれ、エネルギー問題の重みが一段と増していることを実感する。
 こうした印象を裏付けるかのように、著者は、過去四半世紀の間に、ユーラシア大陸内部の相互依存が深化し、エネルギー資源を原動力とする「新大陸主義」が誕生しつつあると説く。
 ここでの「ユーラシア」とは中東・旧ソ連の資源国から東・南アジアの新興消費国までを指す。内部に複雑な不協和音を抱えながらも、経済的補完性を急速に高めつつある事実に著者は着目する。
 その一方、この地域に内在するエネルギー中心の重商主義は、第2次世界大戦後、欧米主導で形成されてきたリベラルな国際秩序の優位を揺るがしかねない。
 国際関係を左右する要因は他にも多いが、エネルギー地政学の地殻変動というグローバルな視座は欠かせない。
 ユーラシア外交のあり方に再考を迫る、大胆な知見に満ちた一冊だ。
    ◇
 杉田弘毅監訳、潮出版社・3150円

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