書評・最新書評

日中対立―習近平の中国をよむ [著]天児慧

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)

[掲載]2013年08月04日

[ジャンル]国際

表紙画像

■大国といかに向き合うべきか

 米中・米韓・中韓の首脳会談が続くなか、日中・日韓に関しては開催の見通しすら立っていない。中国とは尖閣問題に加え、ガス田開発問題も浮上している。
 高まる世論を背景に双方の政府は一歩も引けず、盧溝橋事件の再発を危惧する専門家も少なくない。中国研究の第一人者である著者が本書において人民解放軍の尖閣上陸のシナリオを真剣に分析していることの意味は重い。
 著者によると、2010年を境に、中国は「東アジア共同体」構想を放棄し、「大中華圏」構想へと舵(かじ)を切ったという。日中関係も歴史的に「新しい段階」に入った。
 相手を敵視すれば本当の敵になるという「安全保障のジレンマ」に陥ることなく、日本は中国といかに向き合うべきなのか、そして向き合い得るのか。
 日中間の危機管理枠組みの構築や日米中の安全保障対話フォーラムの創設など、傾聴に値する具体的提案も豊富に盛り込まれている。
    ◇
 ちくま新書・882円

関連記事

ページトップへ戻る