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グローブトロッター―世界漫遊家が歩いた明治ニッポン [著]中野明

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)

[掲載]2013年08月11日

[ジャンル]歴史 国際

表紙画像

■人は旅になにを求めるのか

 19世紀末の欧米にグローブトロッター(世界漫遊家)と呼ばれる人々が出現する。交通機関の進展と低廉化にともない、旅が消費の一形態として、貴族だけでなく、多くの民間人に開放されたのだ。
 鉄道や汽船を乗り継ぎ、世界各都市から辺境まで、どこでも行ってみたい、見てみたいという欲求に突き動かされて歩き回る彼らにとって、開国されたばかりの日本は、いわばレアアイテム。多くの旅の記録が残されている。
 本書はそれらの旅の記録から、開国から数年刻みで刻々と発展してゆく明治期の日本の様子を追う。
 明治期の旅施設の整い具合も興味深いが、グローブトロッターたちのタイプ別分析が面白い。快適さを人脈で得るか、お金で購(あがな)うか。多くの土地を急いで踏破するか、ニッチな目標に沿ってじっくり滞在するか。
 人が旅になにを求めるのか、当時もより便利になった今も、あまりにも変わらないことに驚かされる。
    ◇
 朝日新聞出版・1995円

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