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文学のことば [著]荒川洋治

[評者]

[掲載]2013年08月25日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 「文学のことばには、見えない見どころがいっぱいある」と、著者は考えている。文学といっても、小説や詩のことばだけとは限らない。たとえば、犬の「お手」。成犬に「お手」と声をかけると、前脚を思いきり予想外のところに突きだしてくるときがある。常識から飛躍したその振る舞いに驚き、あわてて、これも「詩だ」と思う。
 あるいは、スーパーなどからもらってきた段ボールに印刷されていることば。熊本の「はちべえトマト」、千葉の「匝瑳(そうさ)のさくら色たまご」……。遠くから運ばれてきて、空になり、いま手元にある箱の文字を楽しみ、旅ごころをさそわれる。あらゆる場面でことばを見つめる現代詩作家の好エッセー集。
    ◇
 岩波書店・1890円

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