書評・最新書評

「幸せ」の経済学 [著]橘木俊詔

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2013年08月25日

[ジャンル]経済

表紙画像

■内外の幸福調査が示すもの

 経済学はもともと豊かで幸せな経済社会をつくるための学問である。ところが昨今は「幸せ」そのものが研究対象になってきた。成長がそのまま幸福度アップにつながった時代と、必ずしもそうでない現代社会では、求められるものも変わってきたためだ。
 貧しくても国民の幸福度が高い「幸せの国」ブータンはこれまで世界の研究対象だった。だが最近、豊かな先進国の情報が入るようになると、国民の幸福度は急落した。「幸せ」はそれほどつかみどころがなく難しいテーマだ。
 ノーベル経済学賞学者のセンやスティグリッツは、だからこそ仏政府の要請で幸福度を測る指標づくりを試みた。そして格差社会研究の先駆者である著者も1万人規模のアンケートに取り組み、日本人の幸福感を探っている。
 内外の幸福調査が示すものを探り、古今東西の経済学者が幸せをどうとらえたかを解読する。幸福をめぐるさまざまな情報をバランスよく、そして誠実にまとめた本だ。
    ◇
 岩波現代全書・1785円

関連記事

ページトップへ戻る