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歌舞伎 家と血と藝 [著]中川右介

[評者]

[掲載]2013年09月01日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 J・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』やC・ロイドの『137億年の物語』など、近年「ざっくりした歴史本」が人気だが、本書はさしずめ「ざっくり歌舞伎史」である、おもに明治期以降の。切り口が変わっていて、市川団十郎、尾上菊五郎、片岡仁左衛門など七つの名家に焦点を当てた「名跡継承戦史」の体裁をとっている。この争いでは、芸の力に加え、政治センスや縁の深さも問われる。人間のドロドロを駆使した闘争。だから、歌舞伎を知らずともめっぽう面白い。例えば、名優でもあった五代目中村歌右衛門(1866〜1940)がライバルたちを尻目に“帝国”を築くドラマは、ぬるい芸談や薄っぺらな批評など蹴散らす迫力に満ちている。
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講談社現代新書・1260円

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