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日本建築集中講義 [著]藤森照信・山口晃

[評者]三浦しをん(作家)

[掲載]2013年09月22日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

■世界を見る眼差しを変える

 建築史家の藤森照信と画家の山口晃が、法隆寺、松本城、修学院離宮など、十三の建築物を見物してまわった本。素人にも見どころがよくわかり、現地へ旅したくなる。
 なにより、藤森氏と山口氏のコンビが最高! 的確な解説をしつつも、建物内はせかせかと通り過ぎ、なぜか電柱やら柿の実やらばかりを熱心に眺める藤森氏。「藤森先生のペースに合わせたほうがいいのか……」「昼はどこで食べる段取りになっているんだろう」といったことにあれこれ気を揉(も)みつつ、結局は心ゆくまで建物を堪能する山口氏。二人のやりとりが楽しく、それぞれの専門分野における経験や知見に基づく発言が刺激的で(金箔〈きんぱく〉をどう使うべきかなど)、読んでいて笑ったりうなったりすることしきりだった。
 愉快で「観(み)る」力のある両氏のおかげで、「観光地」として漫然と眺めるだけだった建物も、鮮やかに躍動しはじめる。世界を見る「眼差(まなざ)し」を変えるコツにあふれた好著だ。
    ◇
 淡交社・1995円

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