書評・最新書評

未来の食卓―2035年 グルメの旅 [著]ジョシュ・シェーンヴァルド

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2013年09月29日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■第二のサーモン、疑似肉…

 20年後の消費者の舌と胃袋を満足させる食材は何か。著者はさまざまな食材開発に挑む研究者、市場関係者らを端から訪ね歩く。食にハイテクをもちこむことに抵抗感があった著者だが、取材を重ねるうちに考えを変えていく。
 いまや遺伝子工学を利用すれば野菜の栄養素を強化するのはたやすい。「第二のサーモン」の呼び声高い白身の塩水魚スギは陸上養殖場での大量生産が試みられている。
 さらに遠大な取り組みも紹介される。オランダの研究チームは試験管で鶏や豚の細胞から疑似肉を作り出そうとしている。米国防総省は、兵士が何日も過ごせる錠剤食の開発に取り組んでいる。
 私たちの健康や生命にかかわる話だけに空恐ろしい気持ちにもなる。ただ、著者が言うように有機農法だけで途上国の栄養不良は救えないし、増え続ける世界人口は養えない。たとえ不快かつ奇抜な試みだとしても長期持続可能な未来を築く機会をつぶすな、という著書の指摘もわかる。
    ◇
 宇丹貴代実訳、講談社・2310円



関連記事

ページトップへ戻る