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日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む [編著]鈴木琢磨

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2013年10月06日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■今こそ思い起こせと誘う

 本書一読後の結論は、今こそ私たちは、「山本有三」を思い起こせとの誘いである。劇作家、作家として幾つかの名作(『路傍の石』など)を残す一方で、戦後は政治家として参議院に緑風会を結成するなど、その実像は「リベラルで、自由主義者、ヒューマニスト」(編著者)であった。
 本書は、戦後すぐに山本のラジオ放送、新聞への寄稿、議会での質問などを集めて刊行された書『竹』(当時は細川書店)を、現役の新聞記者が改めて編著という形で世に出した。山本は口語体論者、現行憲法の条文化にあたり当時の草案づくりの事務方に協力した。前文、第一条、第九条などそれがどの程度生かされたかが示される。「戦争放棄と日本」の中で山本は、日本は、「真理と自由と平和」を目ざす「新しい国家」を築きあげよといい、若者は、「かしらをあげ、胸を張って、信ずる道をドシンドシンと踏みしめて」進めと励ます。「山本有三」の不屈の精神をこの社会は必要としている。
    ◇
 七つ森書館・1680円

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