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沖縄の自立と日本―「復帰」40年の問いかけ [著]大田昌秀、新川明、稲嶺惠一、新崎盛暉/夕凪の島―八重山歴史文化誌 [著]大田静男

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)

[掲載]2013年10月13日

[ジャンル]歴史

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■沖縄の側から日本を語る

 『沖縄の自立と日本』は、2012年11月に法政大学でおこなわれたシンポジウムをもとにした本である。
 座談会をそのまま起こしたものではない。会場で語られた主張をさらに鮮明にするため、沖縄県知事、参議院議員を歴任した大田昌秀、沖縄タイムス社長を経て現在もジャーナリストとして活躍する新川明、企業家であり沖縄県知事も務めた稲嶺惠一、沖縄大学学長であった新崎盛暉(あらさきもりてる)の四氏が、それぞれの言葉で書き改めた文章を収録し、さらに座談を深めた一冊だ。
 東京からは分からない沖縄の強い「自立」の意志が見える。大田は、復帰とは日本国憲法への復帰を意味したのであって、今日もなお憲法は沖縄の拠点になっていることを強調した。新崎は尖閣諸島が国境地域住民の生活圏である事実を述べ、国は共同活用のための協議をこそ仲介すべきだと提案している。稲嶺は、アジアのエネルギーを沖縄に活(い)かすハブ空港構想を語る。
 新川は、沖縄の人々の中にある「祖国復帰」の考え方を批判する。そして今年4月28日に政府がおこなった「主権回復の日」を「屈辱の日」とする沖縄の姿勢を、「祖国」憧憬(しょうけい)の延長線上にあると見る。その上で新川は、「主権回復の日」は「祖国」と呼んできた国がどういう国なのかをはっきり見抜く絶好の機会であったと述べる。この論点は沖縄独立論につながるだけではない。新川は日本と沖縄が相互依存関係にあると考える。日本こそ、沖縄の米軍基地に依存し米国に隷属しているのだから、日本国の人々は沖縄からの自立をめざすべきだ、と主張するのだ。徹底して沖縄の側から日本を語った刺激的な本だ。
 同じころ出た『夕凪(ゆーどぅりぃ)の島』は、尖閣に近い八重山諸島に立って軍事化の危機を見据えている。住民は常に国境を越えて交流してきた。「国境を武器で閉ざすべきでない」という言葉は重い。
    ◇
 『沖縄の自立と日本』岩波書店・2205円▽『夕凪の島』みすず書房・3780円。

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