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三面記事の歴史 [著]ロミ

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)

[掲載]2013年10月27日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■時代を超えて、のぞき見誘う

 「三面記事」は、いまの日本でいえば、スポーツ新聞や夕刊紙のゴシップ欄やセンセーショナルな記事にあたる。奇矯な事故や犯罪、スキャンダルや痴情の果ての惨事といった、人がついのぞき見したくなるような記事だ。
 親族やライバルの殺害、テロリストによる暗殺、見せしめの虐殺……。本書の冒頭に掲げられた1035年から1934年までの殺人リストは、全部で百数十項目。殺人が政治を動かしてきたという事実に、背筋が寒くなる。その一方で、「3分間でワインを4リットル飲み死亡」とか、食膳のグリーンピースを鼻に詰め猿轡(さるぐつわ)をかませて自殺した囚人の話とか、あきれるような事実が満載。これにはいやでも胸が躍り、騒ぐ。
 三面記事は時代を超えて同じ型を踏む。面白すぎる話のヴァリエーションににやりとしながら、他人の失敗を嗤(わら)うみずからの低き性(さが)を突きつけられもして、読者はふと我に返る。そういう意味ではちょっと意地悪な書でもある。
    ◇
 土屋和之訳、国書刊行会・3990円


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