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イギリスに学ぶ商店街再生計画 [著]足立基浩

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)

[掲載]2013年11月10日

[ジャンル]経済 社会

表紙画像

■車依存の郊外居住から転換

 シャッター通りを甦(よみがえ)らせ、中心市街地を再生させることが、今後の政治・経済の最重要課題である。日本においてのみならず、世界において、危急である。なぜなら、街の中心に人々を呼び戻すことで、自動車依存の郊外居住という、20世紀を支配した生活スタイルを転換できるからであり、街を歩き回る楽しくコンパクトな生活は、地球環境問題への貢献ともなる。
 しかし、残念ながら、この分野において、ここ20年の日本は、世界と比較しても、大きく後れをとった。見識と長期的ビジョンを欠いた政策的失敗が要因であったと、この本は明かす。
 同時に、今からでも遅くはないという希望もいだかせる。感銘を受けるのは、最近のイギリスのしぶとさである。過去の政策的失敗を修正しながら、だましだまし前へと進み、保守党、労働党とも、前政権を全否定しない。全国チェーンも味方にひきこむやり方の大人さにも舌をまいた。
    ◇
 ミネルヴァ書房・2520円

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