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フットボール百景 [著]宇都宮徹壱

[評者]川端裕人(作家)

[掲載]2013年12月01日

[ジャンル]文芸

表紙画像

■サッカーで描く世界地図

 サッカーライターで写真家の著者はサッカーを追って旅をする。本書はほぼ100の随想と写真で切り取った「サッカーのある光景」。
 人気の高い日本代表やJリーグはもちろん、草の根の地域リーグ、女子リーグ、東欧、北米、東南アジアのあまり知られていないプロリーグ、視覚障害者サッカーまで。さらに、ピッチの内と外、プレーする選手と彼ら・彼女らに思いを託す者……。著者の眼差(まなざ)しは貪欲(どんよく)だ。
 文筆と対をなす写真も、例えば鳥取でのスナップの次ページがウズベキスタンに飛んで、読者の頭の中に思いもしないサッカー地図を浮かび上がらせる。
 地図を描くことはそのまま自らの位置を知ることだ。熱烈なサッカーファンは、声高ではない議論の中に、根源的な批評精神を感じ取るだろう。それはきっと読者を映す鏡だ。一方サッカーにそれほど興味がない者は、この競技の広がりと多様性に驚きを覚えるに違いない。
    ◇
 東邦出版・1575円


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