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スモールマート革命―持続可能な地域経済活性化への挑戦 [著]マイケル・シューマン

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)

[掲載]2013年12月01日

[ジャンル]経済

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■小さいことは、いいことだ

 経済成長と規模の拡大。一般にこの二つは不可分の関係にあると信じられている。たとえば巨大小売企業による大規模な流通支配や、ショッピングモールなど巨大施設の数々は、この「巨大信奉」の結果だろう。筆者はこれを真っ向から批判する。「大きければ大きいほど、激しく倒れる」のだ、と。たしかに、日本の過去20年を振り返れば、不動産バブル景気とその崩壊による長期デフレ、原子力ムラと呼ばれる巨大利権団体の体質を露(あら)わにした原発事故など、巨大ゆえの脆弱(ぜいじゃく)性が露呈し続けている。一方、規模の小ささは、今日大いに利点となる。それはコミュニティーとの密接な結びつきをもち、地域経済の自立性を高める。それゆえ、一般に評価されるより実際の競争力は高いのだ。
 筆者は提唱する。最も経済的貢献度の高い企業は、地域に根差した小規模ビジネスを展開する会社だ、と。この原理を「地元オーナーシップ・輸(移)入代替主義(LOIS:Local Ownership and Import Substitution)」と呼ぶ。同業種の場合、地元企業は非地元企業に比べ、地域経済に2〜4倍の収入、富、雇用を生み出すという。また、1人あたりの収入の成長率に寄与するのは小規模企業で、非地元の大企業では、むしろネガティブに作用してしまう。
 地域での自立型経済は単に経済発展のみならず、グローバル経済が引き起こし得る問題——たとえば資本の逃避や通貨危機——による被害を、最小限に食い止めることにも役立つ。この点は日本がTPP交渉参加で直面する問題への対処にも役立つだろう。高度な自立は決して孤立主義を意味しない。購買力が上昇した地域では、地元で作れない産品を積極的に輸入するため、むしろグローバル経済の価値を向上させる。地域の価値を見直し、消費者、起業家、政策担当者などさまざまな立場の人に向けて提言を行う、新機軸のビジネスモデル書。
    ◇
 毛受敏浩監訳、明石書店・2940円/Michael H. Schuman 米国の弁護士、経済学者。地元所有企業の専門家。

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