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絵本で読みとく宮沢賢治 [編]中川素子、大島丈志

[評者]

[掲載]2013年12月22日

[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

表紙画像

 宮沢賢治の童話は盛んに絵本化されてきた。1948〜2012年に出た賢治絵本は247点にのぼる。特に「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」が多い。本書では美術と絵本の研究者中川素子ら18人が絵本によって、賢治と賢治童話を多角的に読みとく。
 近代文学研究者の大島丈志は、賢治童話には多くの隙間があり、多様な読み方ができると指摘する。たとえば「注文の多い料理店」の、山猫に脅された紳士の顔が「くしやくしやの紙屑(かみくず)」のようになる場面。絵本で朝倉摂は恐怖でしわだらけの顔を描く。一方、スズキコージはしわは描かず、への字の口で苦しみを表現する。対照的な描写が興味深い。今年の賢治研究の実りの一冊。
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 水声社・3675円

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