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豊国祭礼図を読む [著]黒田日出男

[評者]

[掲載]2014年01月12日

[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 豊臣秀吉の死後、京都の武家や町衆が行った祭礼を描いた17世紀初頭のびょうぶ絵が豊国祭礼図だ。狩野内膳作の豊国神社本と、描法が個性的な岩佐又兵衛(かその工房)作の徳川美術館本が代表作で、人々が輪になって踊り狂う場面で知られる。
 歴史的な絵画がはらむ意味を、文献史料のほか様々な方法で読み解いてきた著者の新作。カバー絵には輪踊りではなく、かぶき者同士のけんか(徳川美術館本)を使った。この場面の解読が全編の頂点をなす。そこに至る記述は、これまでの著者の本よりやや難しいかもしれない。だが、もろ肌脱いだかぶき者を豊臣秀頼とする解釈で視界は一気に晴れる。同時に権力交代の哀切さすら漂うのだ。
    ◇
 角川選書・2100円

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