書評・最新書評

復興文化論―日本的創造の系譜 [著]福嶋亮大

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)

[掲載]2014年01月12日

[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

表紙画像

■柿本人麻呂から宮崎駿まで

 柿本人麻呂から『平家物語』『太平記』『椿説弓張月』、三島由紀夫、太宰治、村上春樹、手塚治虫、宮崎駿まで盛りだくさんの文化論である。壬申の乱から源平合戦、応仁の乱、日露戦争、第二次大戦など数々の戦乱に震災、中国の動乱の影響など、日本社会は「慢性的負傷」状態にあり、「復興期においてたびたびイノベーションを引き起こしてきた歴史それ自体が、日本の文化活動の一段深いところにある動力」だとする。
 戦争や災害とその復興という軸で日本を捉えると、確かに新しい側面が見えてくる。そのナショナリズムは「日本ならざる何か」への「モラルも目的もない変身願望」であり、愛国に見えるものを天皇への恋情としたところも斬新だ。そのような個々の論が復興といかなる因果関係があるか明確でないところもあるが、自力で全体を見通そうとする意欲と才が光る。「無常」を日本の美として語ることに批判的だが、それを笑った文化もまた、日本にはあった。
    ◇
 青土社・2310円

関連記事

ページトップへ戻る