「本当はひどかった昔の日本」書評 古典ってワイドショーだった
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2014年02月02日
本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人
著者:大塚 ひかり
出版社:新潮社
ジャンル:小説・文学
ISBN: 9784103350910
発売⽇: 2014/01/17
サイズ: 20cm/233p
本当はひどかった昔の日本 [著]大塚ひかり
古典エッセイストの著者は中学生のときに『宇治拾遺物語』を原文で読み、「平安人になりたい」と思いつめた。現代女性の感覚で『源氏物語』を全訳し、『ブス論』などユニークな著作がある。40年近く古典を読んできて、今は「現代に生まれて良かったな〜」としみじみ思う。現代社会に特有と考えられている病理や事件の多くが、実は古典の書かれた時代にもあったから。
たとえば育児放棄。9世紀の『日本霊異記』に、女盛りの母が多くの男と関係をもち、赤子に乳をやらずに飢えさせたため、早死にして、来世では乳房が腫れて痛む罰を受けたという因果応報譚(たん)がある。本の帯にいわく、「古典ってワイドショーだったんですね!」。
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新潮社・1365円