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気が遠くなる未来の宇宙のはなし [著]佐藤勝彦

[評者]三浦しをん(作家)

[掲載]2014年02月02日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■「存在」の不思議を問うこと

 一晩に一章ずつ読めば、最新の研究に基づく宇宙の姿を、六晩で楽しくわかりやすく把握できる、というつくりの本。なかなか寝つかれぬ夜には、「老後の貯蓄が……」など、つい悶々(もんもん)としてしまいがちなもの。そんなときはぜひ本書を手に取り、壮大な宇宙に思いを馳せていただきたい。太陽だっていずれは死ぬ! それに比べりゃ、私の憂いなんて塵(ちり)以下だ(とはいえ、憂いを感じる本人にとっては大問題であることに変わりはないが)! と、妙に前向きな気持ちになる。
 なによりすごいのは、「1862億年後、宇宙はどうなっているのか」といったことを、真摯(しんし)に研究する人々がいるという事実だ。宇宙の成り立ちについて「知りたい」「解き明かしたい」と願うことは、「存在」の不思議を問うことにほかならない。未知の領域に挑む人間の精神と知性の輝き、宇宙に比べればはかない存在かもしれない我々に、しかしたしかに宿る尊厳の輝きを、本書から強く感じ取った。
    ◇
 宝島社・1260円

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