「幸せのメカニズム」書評 時代の影響も受けている
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2014年02月09日
幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)
著者:前野 隆司
出版社:講談社
ジャンル:新書・選書・ブックレット
ISBN: 9784062882385
発売⽇:
サイズ: 18cm/257p
幸せのメカニズム [著]前野隆司
アリストテレスの昔から、幸福について考えるのは哲学の領域だった。本書では、ロボット学者が理系のアプローチで、先哲を悩ませてきた難問に挑む。
工学者らしく、ものごとが働く仕組みを単純化して考えるモデリングの手法がいきている。日本人1500人へのアンケート結果を数学的に処理、幸せに最も深く関係する四つの要素を見つけ出した。
哲学的な議論にこだわらない思い切りのよさが印象的。いま現に幸せな人の分析に徹しているので、幸せに関係する要素は時代の影響も受けることがわかる。絆、つながりが見直される現代日本の横顔を見るようで、興味深い。
◇
講談社現代新書・840円