書評・最新書評

香夜 [著]高樹のぶ子

[評者]

[掲載]2014年02月09日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 死ぬ前に、決着をつけないといけない相手がいる。たとえ相手が生者ではなくても思いを遂げようとする。それが、この物語の主人公・流奈(るな)。
 愛してしまったために、流奈の心と体を傷つけた男との再会。家族の期待を背負いながらすべてを捨てた姉との旅路。人生につまずいた不器用な息子と孫が見せる希望。6歳で死んだ、幼なじみの少女と自分の娘への悔恨の念。連なる四つの幻想譚(たん)。
 「決心を実行するときが来た」。最後、病院を抜け出した流奈には、思いがけぬ道行きが待っていた。
 「命を運ぶのが、運命」。長年、生と性を描いてきた著者による、不思議な鎮魂の物語だ。
    ◇
 集英社・1575円



関連記事

ページトップへ戻る