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ロングウォーク―爆発物処理班のイラク戦争とその後 [著]ブライアン・キャストナー

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)

[掲載]2014年02月09日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

表紙画像

■恐怖と後遺症の終わりなき日々

 スーサイドボム(自爆)という言葉を聞くたびに、これまで抱いていたイメージとは違うきつさが、昨今の爆発物処理の現場にあるのだろうと、漠然と思っていたが、予想を上回る過酷さであった。
 著者はイラクに実際に赴いた爆発物処理班の兵士。プロの書き手ではない。戦地での体験と、帰国後に襲われる精神疾患と後遺症に苦しみ立ち向かう終わりなき日々が交互に綴(つづ)られる。
 爆弾を積んでいる“かもしれない”トラック。車から降りて“何か”を隠し持って駆け寄って来る男。「もしも爆弾だったら」という可能性で攻撃のゴーサインを出し、無実の人を殺す現実。爆発が起きれば起きたで現場検証のために、飛び散る肉体をかき分けて爆弾の欠片を探す。
 仮に身を挺(てい)して爆発を防いだとしても、救われたイラク人からは感謝もされない軍事介入の現実も、切ない。
 呼吸も忘れるほどの恐怖と絶望を読者に叩(たた)き付ける描写力に、ひたすら圧倒される。
    ◇
 安原和見訳、河出書房新社・1995円



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