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国家のシロアリ―復興予算流用の真相 [著]福場ひとみ

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)

[掲載]2014年02月23日

[ジャンル]社会

表紙画像

■生みだすのは国民の無関心

 十九兆円の大震災復興予算の大半が、国会議事堂や合同庁舎の修繕をはじめとする、被災地と関係のない事業に使われた。その事実は多くの人が知っている。なぜそんなことが可能だったのか。本書ではその仕組みがわかる。
 著者は二〇一二年七月に流用に気づき週刊誌で取り上げた。そこから波紋が広がった。秘密情報を入手したわけではない。一般に公開されている予算書を見て疑問を抱いただけなのだ。しかし関係者の誰もが違法ではない、と語る。その理由は、復興対策本部が策定した復興基本方針に則(のっと)っているからだという。政府は復興という言葉を利用してこの時とばかり使った状況が見えてきて、一頁(ページ)ごとに怒りがこみ上げてくる。著者は言う。国家のシロアリを生む最大の要因は国民の無関心である、と。五〇%にも届かない都知事選の投票率からも、その無関心は明白だ。私たちが日々働きながら支払っている税金が、今もどこかでシロアリに食い荒らされている。
    ◇
 小学館・1365円

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