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ニクソンとキッシンジャー―現実主義外交とは何か [著]大嶽秀夫

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2014年03月02日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

表紙画像

■仔細な分析で指導者像問い直す

 ニクソンとキッシンジャーが、アメリカ政治を動かしたのは1969年から74年までの5年半ほどである。この間に、デタント政策を成功させ、米中和解を進め、ベトナム戦争終結と多くの外交的成果を上げた。大統領と大統領補佐官という、このコンビはアメリカ政治を「世界のリーダー」の座に強固に位置づけた。
 ニクソンには反共政治家、扇動家、さらに野心家といった評が、キッシンジャーには狡猾(こうかつ)な謀略家、味方をも裏切る非情さといった評があるのだが、著者はそうした一般的なイメージをふたりの外交戦略を仔細(しさい)に分析することで覆していく。ニクソンのポピュリズムを六つの手法で明かし、「敵の存在が不可欠」として既存の政治エリートを指摘する点など興味深い。キッシンジャーは毛沢東、周恩来などと哲学を語り合い、そのことで、北京訪問以来、国内の高学歴層、上層中産階層に「絶大な人気」を得たと見る。
 改めて指導者像を問い直す著者の筆は説得力を持つ。
    ◇
 中公新書・840円

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