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岩本素白 人と作品 [著]来嶋靖生

[評者]

[掲載]2014年03月23日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 岩本素白(1883〜1961)の文章を、親友だった野尻抱影は「時代物の結城紬(つむぎ)のような、渋い、きめの細かい随筆」と書き、その人となりを森銑三は「市井の隠者」と評した。東京・品川に生まれ、学識深く、麻布中学や早稲田大学で長く教えた。早稲田の国文科では素白のために「随筆文学」の講座を設けたそうだ。江戸の名残がまだ濃い明治を追憶した名編『東海道品川宿』はもともと文芸誌「槻(つき)の木」に連載され、その第1回の原稿は著者が素白から直接受け取ったという。窪田空穂はじめ友人、同時代人、教え子ら多くの人が書き残した素白像をたんねんに集め、生涯をたどる。両親ともに幕府方の武家だったというのに納得。
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 河出書房新社・1890円

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